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育ちが生まれに変わるとき メダカから見えた可塑性を介する進化の道すじ
〜気候変動下における生物の適応メカニズムの理解に新たな知見〜
キリンの首はなぜ長いのか?高い木の葉を食べようと首を伸ばし続けた結果、その形質が子に受け継がれたからだと、19世紀の博物学者ラマルクは唱えました。この「獲得形質の遺伝」による環境適応は今でも根強い魅力がありますが、現在では否定されています。しかし生物には、育った環境によって姿や形を変化させる能力があります(表現型可塑性)。最近では、この育ちで獲得した変化が、生まれつき備わっている集団が見つかっており、ラマルクが唱えた「獲得形質の遺伝」を匂わす事例が報告されています。そして、この過程がどのような分子メカニズムで起こるのかは、長年の謎でした。
本研究では、メダカの腸の長さをモデルに、この謎に初めて分子レベルで答えを出しました。
九州大学大学院芸術工学研究院の勝村啓史准教授と、東京大学大学院理学系研究科の太田博樹教授、北里大学医学部解剖学の小川元之教授らの研究グループは、香川県の野生メダカと、日本各地に由来するメダカ野生系統を用いて、腸の長さの季節変化と地理的変異を解析しました。その結果、メダカにおいて、祖先的な集団では育った環境に応じて腸の長さが変わるのに対し、派生的な集団ではその変化の幅を超えた“極端に長い腸”が、生まれつき備わっていることが示されました。
本研究成果は、米国科学アカデミー紀要(PNAS)に2026年3月26日(午前3時)(日本時間)に掲載されました。
本研究では、メダカの腸の長さをモデルに、この謎に初めて分子レベルで答えを出しました。
九州大学大学院芸術工学研究院の勝村啓史准教授と、東京大学大学院理学系研究科の太田博樹教授、北里大学医学部解剖学の小川元之教授らの研究グループは、香川県の野生メダカと、日本各地に由来するメダカ野生系統を用いて、腸の長さの季節変化と地理的変異を解析しました。その結果、メダカにおいて、祖先的な集団では育った環境に応じて腸の長さが変わるのに対し、派生的な集団ではその変化の幅を超えた“極端に長い腸”が、生まれつき備わっていることが示されました。
本研究成果は、米国科学アカデミー紀要(PNAS)に2026年3月26日(午前3時)(日本時間)に掲載されました。
ポイント
・環境に応じて変化する形質が、進化の過程で新たな形質として遺伝的に固定される現象は知られていたが、その分子メカニズムは未解明だった。
・メダカの腸の長さの季節変化と地域差を用いて、エピジェネティックな仕組みが失われ、もともとあった遺伝的変異から有利なものが選ばれる、という過程を初めて分子レベルで示した。
・気候変動下で生物がどのように新たな環境に適応するのかを理解する上で、エピジェネティクスと進化生物学を結びつける新たな枠組みを提供する。
論文情報
【掲載誌】Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America (PNAS)
【論文名】DNA methylation site loss for plasticity-led novel trait genetic fixation
【著 者】Takafumi Katsumura, Suguru Sato, Kana Yamashita, Shoji Oda, Takashi Gakuhari, Shodai Tanaka, Kazuko Fujitani, Toshiyuki Nishimaki, Tadashi Imai, Yasutoshi Yoshiura, Hirohiko Takeshima, Yasuyuki Hashiguchi, Yoichi Sekita, Hiroshi Mitani, Motoyuki Ogawa, Hideaki Takeuchi, Hiroki Oota
【DOI】10.1073/pnas.2534817123
問い合わせ先
研究に関すること
北里大学 医学部 解剖学
教授 小川 元之
e-mail:motomedu“AT”kitasato-u.ac.jp
教授 小川 元之
e-mail:motomedu“AT”kitasato-u.ac.jp
報道に関すること
学校法人北里研究所 広報室
〒108-8641 東京都港区白金5-9-1
TEL:03-5791-6422
e-mail:kohoh“AT”kitasato-u.ac.jp
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